お稽古に必要な道具
謡のお稽古では「謡本」が、仕舞のお稽古では「お扇子」と「足袋」が必要です。
- 謡本(うたいぼん)
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謡本は通常、曲目ごとに一曲で一冊になっている謡本(一冊本)を使ってお稽古をします。
観世流では特に初心者向けに五曲を一冊にした謡本「初心謡本上・中・下」があり、習い始めはこれを使う事が多いです。
謡本は各流儀とも昔ながらの「和綴じ本」で出来ています。これは和紙を袋綴じにして糸で製本したもので、お稽古の際には卓上で開きやすく先生の指示なども書き込み易い大変すぐれた製本形態です。
また、和紙は洋紙に比べて長期の保存に適していて、百年以上経過している謡本でも本文と朱書きが鮮明に読めるものが多数あります。
- お扇子(せんす)
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流儀によって扇面の模様や扇骨が異なります。
観世流では一尺一寸の長さの扇子を使う事が多いですが、素謡では九寸の短めの扇でも構いません。
種類は6,000円前後の丁子三段水巻から、扇面が職人の手描きによる数万円の扇子まで多数ありますが、お稽古を始める際には丁子三段水巻程度の物で充分でしょう。お稽古が進めば、発表会の際などに先生に相談して揃えていかれるのが良いかと思います。
- 足袋(たび)
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お仕舞の際に欠かせないのが白足袋です。お稽古の際には畳の部屋でも板張りでも白足袋を履きます。
能は歩行舞踏ですから足元をしっかり固定することが必要です。
普段のお稽古は着物でも洋服でも構いませんが、必ず足袋は着用するようにしましょう。
普段お使いの白足袋があればそれでも結構ですが、発表会の際などはネル裏のしっかりした作りの能楽用足袋をお薦め致します。